第三次アーミテージレポートの翻訳

第三次アーミテージレポートURL

以下私訳

中略~
しかし皮肉なことに、日本の利害の保護を必要とする最も深刻な条件の下で、我々の軍隊は日本の集団的防衛を法的に禁じられている。

日本の集団的防衛の禁止に関する改変は、その皮肉に対し大いに作用することになるだろう。
政策の変更によって指揮の統合、より軍事的に積極的な日本、もしくは日本の平和憲法の改変を達成しようとするべきではない。
集団的自衛の禁止は、同盟にとっての障害だ。※脚注7
(脚注7の訳:柳井氏の懇談会がまとめた2006年の報告書によると、ジブチでの海賊対処行動支援の例にみられるとおり、総理大臣の命令で9条の禁止条項を無視することができたのである。)
311は、我々2つの軍事力がどのようにして必要時に能力を最大活用できるかについて示した。
平和時から、緊張、危機、及び戦争時まで全ての安全保障フェーズを全面協力で対応することを、我々の軍に許可することは責任ある権限行動であろう。

山本太郎氏の国会質問URL
こんな質問をしてたんだ。ただ、質問に対する回答は年次改革要望書に対する政府の回答と一緒ですね。

synodos.jp

自由放任経済から生み出される問題に立ち向かった欧米のリベラルと違い、日本の左派は経済問題に正面から取り組まなければならないほどの切迫した事情に置かれなかったため、講話問題や基地、安保、憲法といった、政治問題だけに取り組むこととなったのであろう。反面で、吉田茂首相以後、自民党の「保守本流」が「軽武装・経済重視」を掲げ、雇用や将来の年金問題などで不安を抱える現代の若者たちから見ればうらやましく感じられるほど安定した経済と福祉国家的社会体制を築いていったのだから、欧米型リベラルの存在はますます必要とされなくなっていった。

たぶんこの当時の経済政策は結果として労働分配率の高さも相まって労働者に還元されてきたのもあったので、福祉的な効果も期待できたんだろうけど、
現代だと経済政策はあくまで事業所にフォーカスを当ててるから、間接的に労働者まで政策の効果が波及しないんじゃないかなと思う。

www.asahi.com

1999年の労働者派遣法改正に関わる年次改革要望書の書き起こしメモ

年次改革要望書:1996年版のアーカイブ

3. 雇用政策
外国企業は能力のある日本人従業員を採用・確保する上で、また外国人幹部を日本の高コストのビジネス環境に配置する上で多大な困難に直面している。日本の労働市場は、全般的に労働力コストを高くし、労働者の移動を妨げるある種の特徴を持っている。日本の年金/退職システムは従業員を現在の職業に縛りつけるように働く。雇用保障法の下で、複雑な規制システム によって、日本政府は、民間の職業紹介業を厳しく制限している。規制機和の実施は、経済全般において、人々に適職に就く機会を与え、競争的な経済の中で将来の職の確保を助け、経済のリストラを促進し、特に困難な状況にある外国企業を含むすべての企業に対して労働力状況 を緩和する上で役立つ。

  • a. 日本の年金システムと退職金制度は、従業員が退職金など持ったまま他の企業に転職し得るような制度に変えるべきである
  • b.民間職業紹介業の認可は5年に延長すべきである
  • c. 民間職業紹介業の認可は企業別に与えられるべきであり、同じ企業の複数の営業所 が個別に認可を取得しなければならないという規制をなくすべきである
  • d.職業斡旋業者の認可に関する全ての情報は、要請に応じて労働省が提供すべきである
  • e.民間職業紹介業の紹介料に、日本政府が一定の最高限度を設けるのではなくて、民間企業が基本的な、市場の実体に応じた料金体系を提出し、政府は詐取的なあるいは過重な料金を課す個々のケースに対してだけその権限を発動すべきである
  • f,民聞職業紹介業者(臨時労働蓄派遣サービスを含む)が営業できる雇用種別と職業分類に関する制限は撤廃すべきである。もし職す場合は、禁止される種別だけを挙げ る「ネガティブ・リスト」とすべきである
  • g.民間職業紹介業者によって雇われている専門家がリクルートしたり、相談に乗るこ とができる職種の制限(例えば彼らが直接的経験を持っている職種に限る)は撤廃。 もし制限を残す場合は、「ネガティブ・リスト」とすべきである
  • h.民間職業紹介業の広告に関する規制は廃止し、詐欺的な広告に対する一般的な規制 の下に包括されるべきである
  • i.労働者派遣業(臨時雇用紹介業)の責任ある従業員数と派遣された従業員数との比率に関する規制並びに派遣業の従業員を直接経験を持つ職業種別だけに制限する規制は撤廃されるべきである
  • j.就職紹介及び派遣の両サービス業に対する最低床面積に関する規制を撤廃し、両種 類のサービスを提供しようとする企業に対しても合理化されるべきである
  • k.就職紹介と従業員派遣サービスの両方を提供しようとする企業に対して、各々の目 的別に事務所と従業員を持つことを義務づける規定は撤廃されるべきである
  • l.民間職業紹介業が合法的な求人者・求職者の氏名を明らかにすることを求める政府の要求又は慣習は撤廃されるべきである


これを元に1999年の労働者派遣法は改正され、結果として・・・
・高い労働力コスト→正社員の労働者コストは据え置きのままだが、非正規の労働者を調整弁として、総体的な労働力コストは縮小化。
・民間の職業紹介業を厳しく制限→規制緩和の実施、職業紹介業の活発化、転職率は非常に増加
・経済のリストラを促進→雇用における非正規・派遣労働者比率の拡大に成功、結果経済のリストラの目的達成
・日本の年金/退職システムは従業員を現在の職業に縛りつけるように働く→ideco、企業型確定拠出年金制度の設立


1995年以前の日本型の年功序列・終身雇用制度のメリット・デメリットって何だったかというと
メリット

  • 退職金制度による長期的な雇用における労働者に対する強いインセンティブ
  • 終身雇用を前提とした企業への強いエンゲージメント、ビジネス環境の変化における人員配置の適正配置が可能
    • 転勤・別職種への転属等
  • 安定的な雇用を前提としたライフプランの作成が可能
    • 長期雇用を前提としたローンを組める等

デメリット

  • 強い解雇規制による労働者コストの適正化の困難化
    • ビジネス環境の変化により労働力の余剰が発生した場合の解決策が存在しない
  • 転職の経済的インセンティブが発生しにくい事による労働者リソースの固定化
    • 退職金制度を含めた実質的生涯賃金を考慮すると、転職へのメリットが薄い
  • 労働者の主体的なキャリア構築の阻害
    • 企業の経営判断が優先され、望まない転属、転勤等

この年功序列・終身雇用制度におけるデメリットの、強い解雇規制による労働者コストの適正化の困難化というのを嫌った経団連と、日本独自の雇用慣行による市場への参入障壁の高さを嫌った米国の利害が一致したって事になるのかな。

20年経った現在、大筋でこの要望書の目的通りに日本社会が移行したなという印象が強い。今後どうなるんだろ・・・

30年後の車社会を妄想してみた

自動運転が完全に普及して、珍しく無くなった未来の車社会において。
交通事故が起こる原因は恐らく殆どがヒューマンドライバーのマニュアルドライブミスが原因となるんじゃないかと思う。そういう未来において多分保険会社は自動運転装置を搭載してる車に対して保険を安くしてセールスするだろうし、逆に時代遅れのマニュアルドライビングユーザーに対しては高額な保険金を負担せざるを得なくなる。たぶんこれはオートドライブシステムを搭載するインセンティブになりうる。もしかしたら政府がソーラーパネルに補助金を出すのよろしく、オートドライビング搭載車購入に対する補助金を付与するかもしれない(たぶん車の生産会社はそのためにロビー活動を行うのではないだろうか?新たなイノベーションに対する買い換え需要を喚起させる為の後押し材料として)。そういう社会において、たぶんマニュアルドライビングは衰退せざるを得なくなると思う。例えばビジネス上の要請から。ヤマト、佐川のようなBtoCも行ってる流通はともかく、BtoBの流通においては恐らく運転手というのは必要なくなると思う。発送元と送り先に人がいれば運転中に人が必要なくなると思う。あとタクシー業界とか、もしかしたらバスも無人営業化するんじゃないかな。イレギュラーが起きた場合のみ現場に向かえばいいというスタンスになるんじゃないかと予想する。コンシューマーユースにおいては子供が車にのって遊びに、というのはさすがに無いと思うが、運転免許にオートドライブ専用といった感じの種目が追加され、必要な技能はオートドライビングシステムにイレギュラー発生したとき、マニュアルで車を安全に停められる、程度の簡易な運転免許ができると思う。

問題点があるとすれば、自動運転に任せっきりにしてて事故が起きたときの対処だけど、これはどういう周辺技術があるかによって変わってくるのかなと思う。オートドライビングシステムにどんなセンサーが搭載されるかによって、事故の起こる可能性というのは変わってくると思う。たとえば、アクセル・ワールドに存在するようなソーシャルカメラがあれば、その情報を利用して危険度を判別するアルゴリズムを組めると思うし。道路上に何かしらの補助センサーを設置して、そこから発信される情報から安全に運転するようなシステムにすることは、多分可能だと思う。当たり屋みたいなのは無くなるかもしれない。

仮に自動運転によって交通事故の危険を(マニュアルドライビングによる防ぎようのない事故を除き)著しく削減した場合、恐らく運転免許取得のハードルというのは恐らく低くなるんじゃないかなと思うし、脱・車社会みたいな事も言われなくなるんじゃないかなと思う。テクノロジーによる問題はやっぱりテクノロジーによって解決される方が自分としてはスマートに思える。というわけで、誰かグーグルの自動運転技術を普及してくれないかな。僕はタクシー業界の人間でもなければ流通業の人間でもないので全く雇用を気にする必要が無いしそうしてくれるとうれしいんだが。